3人が本棚に入れています
本棚に追加
私と志音の宿題もほぼ終わり、新学期を安心して迎えられると思った矢先、私のテンションは急激に落ちた。
志音が早苗ちゃんを連れて、短時間の散歩をしようと提案したからだ。
散歩はいい。
その散歩に何故、女装をしなければいけないのか。
仕方なく派手にならない服を着て、熱中症にならないように帽子を被り、乳幼児用のジュースやちょっとしたお菓子などをバッグに詰めて、折り畳み式のベビーカーを外で組み立てる。
世の中の母親は大変だな…。
男も育児か家事を自主的にしないといけないな。
私も志音もそう考える日がくるのだろうか?
莎弥が生きていれば志音と結婚して、私に甥か姪が生まれるという未来もあったのかもしれない。
たとえ志音と結婚しなくても、莎弥が幸せなら……もうそんな未来はないんだな…。
莎弥のことを思い出して、空を見上げて小さく息を吐く。
今日も本当に暑いな…。
「ごめん、お待たせ!」
「いや…。母さんに上手く伝えてくれたんだろうな」
「そこは任せてよ。俺が説明上手なの知ってるでしょ?」
そうだったか?
でも、志音のドヤ顔がムカついたので、無視してベビーカーを押して散歩を始める。
最初のコメントを投稿しよう!