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「…取りあえず女性が偉大なことだけはよく分かった」
「大丈夫、七っちも可愛いよ♪」
「可愛いとかそういう話ではないような…」
カラカラとベビーカーを押して歩いていると、日傘を差した年配の女性に声をかけられる。
「あらあら、ずいぶん若いお父さんとお母さんね」
「えっ?」
「ははっ、学生結婚なんで♪」
文句を言いたかったが、話がややこしくなっても困るし、声で男とバレるのも嫌だったから、少し睨むだけに留めておいた。
学生結婚も何も私達はまだ高校生なんだがな。
しかも男同士で、私に至っては女装だぞ?
もし男だとバレたら切腹してしまいたいくらいには屈辱なのだが…。
あんまり話をしていると、ボロが出そうな気がして志音のシャツの裾を軽く引いて、切り上げるように目で合図を送る。
「それじゃ、俺達これで失礼します」
志音の言葉が終わると同時に会釈をして女性と別れる。
ホッとした反動なのか汗が噴き出す。
「七っち、どうかした?」
「お前が何を言い出すか分からないから、ヒヤヒヤしたぞ。ボロが出てもフォローできんからな…」
「そこら辺は気を付けてたから、任せてくれてよかったのに」
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