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夏休みも終わりに差しかかった頃、久しくやっていなかったアルバム整理をやった。
今ならデジカメで楽に見られるが、フィルム写真にはフィルム写真の良さと思い出が残っている。
アルバムを眺めていると、小学生の夏休みに撮った写真が目に入る。
小学生の夏休みは、毎年軽井沢の別荘(父さんと伯父の共同所有らしい)で過ごしていたが、この写真の私と一緒に写っている少年は誰だ?
アルバムから取り出して裏面を見ると『四年生の軽井沢。シオンくんと一緒に』と母さんの字で書かれている。
「この子もシオンか。あの志音とは別人だな。雰囲気が全然違う」
私と一緒に写るシオンくんは日焼けしていて、元気なやんちゃ少年という感じがする。
隣りにいる私は色白のもやしっ子にしか見えないのが地味にショックだ。
写真を見ながら、当時のことをじっくり思い出してみた。
「えーっ、僕一人!?」
「仕方ないでしょ、莎弥が熱出してるから、お母さん看病するわよ」
「お父さぁん!」
「お父さん今から薬とか買いに行くから遊べないぞ。敷地内で虫取りをすればいいじゃないか」
「もう、莎弥が熱出すのが悪いんだ!」
「七瀬!」
お母さんの怒った声が聞こえたけど知らない!
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