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「なぁ、思ってたけど、神月の弁当っていっつも美味そうだよな」
購買のパン10個を軽く平らげて、まだ満足できていないらしい彼が僕のお弁当をのぞき込んで言った。
その目はまるでお腹を空かした子犬がエサをねだるようで、僕はつい
「…食べる…?」と、
お弁当を差し出した。
「お、まじで!じゃあ、いただきます」
彼は卵焼きを1つとって口に運んだ。
「う、うま!この卵焼きすごいうまい」
「おおげさだよ」
彼はまるでこんな美味しいもの生まれて初めて食べたかのようなリアクションをとって、
僕はそれがおかしくてクスッと笑ってしまった。
「いやいや、お前の母さんって料理うまいんだな」
「どうかな。お弁当は僕が作ってるし」
「え、お弁当っていつも神月が自分で作ってるのか?」
「うん。そうだよ」
そう言うと、
彼は少し黙ってこっちを向いて
「お前きっといい奥さんになるよ」と、
真面目な顔で彼がそんなこと言うもんだから、
僕は今度はさっきよりも大きめに笑ってしまった。
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