No.1 サッカーボールと花壇

2/7
前へ
/20ページ
次へ
それは突然。 「あっ!?やべぇ!ボール!」 「………え、」 勢いよく蹴られたサッカーボールはキレイに孤を描きながら僕を目がけて飛んできた。 「悪かった。怪我は?」 ボールを蹴ったらしきサッカー部の部員が、悪いと手を合わせるポーズをしてこっちに走ってきた。 それは同じクラスの倉田仁司(クラタヒトシ)だった。 「…花が……」 僕はボールに押しつぶされた花壇の花を見つめた。 ボールは僕には当たらなかったものの、ちょうど僕が作業をしていた花壇の上に落ちたのだ。 「あー、まじか。これはヤバ」 倉田は花壇からボールを拾い上げると、ボールについた土を手ではらい落とした。 「おい、ボールは?」 すると、もう一人の部員がなかなか戻ってこないボールを求めて駆けつけてきた。 (この声って……) 僕はハッとした。 「お、良司!」 「どうした?何かあったのか?」 「それがよ、ボールが花壇に落ちちゃってよ…」 良司と呼ばれたもう1人の部員は、花壇の方に目をやった。 「これは派手にやったな。ごめんな、神月」 「!?」 「これ手入れするだろ?俺も手伝うよ」 「え!?あの、いや…」 「俺が部活終わるまで教室で待っててくれるか?」 「で、でも…」 「じゃあ後で。ほら、倉田いくぞ」 「え、お、おう…」 そうして強引に言葉を残して、2人はボールを蹴りながら部活の練習へと戻っていった。 .
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加