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「ちょっと、おなかが痛いんです」
ぼくはうそをついた。
先生はやさしくて、給食は食べなくてもいいよ。と、
先生がおやつに持ってきていたクッキーをみんなには内緒だよ。と言ってこっそりとくれた。
学校が終わると寄り道をせずにまっすぐに家に帰った。
足元のだんごむしやありんこを踏まないように気をつけながら。
サボテンくんと、クモくんとお話がしたくて、急いで家に向かった。
「ただいまー」
「あら。おかえりなさい。今日は早いのね。手洗いとうがいしなさいよー」
「うん。わかった。ごはんができるまで宿題しとくねー」
ぼくはすぐに、自分の部屋へ行った。昨日の話の続きがしたくて、めがねをかけた。
「おかえり。くまみー」
「おっす。おかえりー」
サボテンくんとクモくんがぼくの机の上からあいさつをする。
「ねえ、ねえ、昨日の話の続きなんだけど。
お魚もぼくたちくまに食べられるのは、とても嫌なの? 苦しいの?」
サボテンくんは答えた。
「おれは、魚は魚なりの痛さや苦しさは感じていると思うぜ。
それは、くまのくまみーが感じる痛み、サボテンのおれが感じる痛みと一緒なのかもしれないし、
違うのかもしれない。お互いに体験したことがないから一緒かどうかはわかんないよね。
でも、生きてるんだから、できれば死にたくないし、食べられたくない。
その気持ちは一緒だと思う。魚と話したことがないからわからないけどさ」
「じゃあ、お魚をここに連れてくるよ!」
そう言ったけど、お魚がいる台所には、おかあさんがいて、持ち出すことはできなかった。
川にいるお魚に、直接話を聞きに行こうと思ったけど、
外はもう暗くて、川に行くには危険な時間だった。
部屋に戻って、お魚を連れてこれなかったことを説明すると、サボテンくんは話の続きをはじめた。
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