scene.6

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「斎…」 「なんだ?」 「…えと、なんでもない」 「変なヤツ」 斎の声に笑みが混じる。 この状況に耐えられず、何か話をしようにも、何を話していいかわからない。 斎相手に何を話していいのかわからなくなるなんてこと、今までなかったのに。 「あの…もう支えてくれなくて大丈夫だよ?」 「お前は危なっかしくて、離すと不安だ」 そう言うと、抱きかかえる腕に力を込めた。 さっきから、心臓のバクバクが収まらない。 どうしようかと考えれば考えるほど、頭の中はパニック状態になってくる。 本当に死にそうだと思い、私はぎゅっと目を閉じる。 その時、髪に吐息を感じた。 驚いて目を開けると、斎の端正な顔が見えて、切なげな視線とぶつかる。 しかし、そう思ったのもつかの間、斎はいつもの表情に戻って、抱きかかえる腕を解いた。 「電気つけるぞ」 「う…うん」 パチッという音がして、一気に周りが明るくなる。 急に明るくなったので一瞬目がチカチカした。
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