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「まさか反応するとは思ってなかったと思うよ、南条も」
進藤君が少し笑みを含んだ声で言った。
それに皆がうんうんと大きく頷く。
南条君は面白くなさそうにフイッと横を向いてしまう。
そうか、私がなまじあのサーブに反応してしまったものだから、あの後のプレーもあまり優しくなかったってことか。
「祐もまだまだだね」
藤代君がそう言うと、南条君は不機嫌そうな顔で藤代君を見上げた。
「どうでもいいけど、伝言あるんでしょ」
「あぁ、そうだった」
そうそう、と頷いて、藤代君は私にメモを渡す。
開いてみると、簡単な地図だった。
「これは?」
私が尋ねると、皆がニッと笑う。そして、藤代君が杏奈に言った。
「間宮さんは僕達に付き合ってね」
「え?」
あまりの驚きに、杏奈が目をキョロキョロさせる。
何が起こってるのかわからない、といったようだ。こんな杏奈を見るのは珍しい。
「舞さんは今からそこに行って。行けばわかるから」
「うん…わかった。杏奈、大丈夫?」
杏奈を見遣ると、杏奈がガシッと私の手を握って言った。
「大丈夫に決まってるでしょ!舞はもうどこでも好きに行っちゃって!」
「…は…い」
目がランランと輝いてる杏奈。うん、心配するだけ野暮だったね。
私が反省していると、藤代君が小声でそっと囁いた。
「今から花火なんだ。ごゆっくり」
「…え?」
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