scene.6

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「帰るぞ」 「え?…後片付けは大丈夫なの?」 「明日の朝からになっている」 「そうなんだ」 そう言えば、杏奈はどうしているだろう? 連絡しようと思ってスマートフォンを取り出すと、杏奈から連絡が入っていた。 『帰りは藤代君達が送ってくれることになったから、別々でね!』 なんとまぁ…ちゃっかりしてることで。 私がクスクス笑っていると、斎がどうした、といった顔を寄越す。 私はスマートフォンの画面を見せて、事情を説明すると、斎は納得したように頷いた。 斎が帰り支度を済ませ、教室の明かりを消そうとする。 「あ、ちょっとだけ待って」 「…」 私はもう一度窓際へ行き、空を見上げた。 「どうした?」 傍に来ていた斎に、少し困ったように笑う。 「なんだか名残惜しくなっちゃって」 「…」 そして、私達は生徒会室を出て、斎が鍵をかける。 薄暗い廊下や階段は、一人なら歩けないほどに不気味だけれど、今は斎が傍にいるから怖くもなんともない。 それに、校舎内にはまだまだ生徒がたくさんいるはずだった。屋上で花火を見ていた人達だ。 彼らと遭遇するのではないかと思っていたけれど、不思議と誰とも会わなかった。 後で聞いてみると、屋上から外へ向かうルートで開放されていたのは一つだけで、私達が歩いている場所はそこから外れていたからだったらしい。 なんとなく計画めいたものを感じるのは、気のせいだろうか?
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