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てっきりタクシーか電車で移動するのかと思いきや歩いて商店街の方へ向かう。
この商店街はまだ料理ができない頃にお総菜を買ったり今でもたまに材料の買い出しにきたりする。
近くにスーパーができたから利用する機会は減ったがこの独特な雰囲気は好きだ。
「ここにするか」
敦が暖簾をくぐって入っていく、お父さんがお休みの日はよく来ていた定食屋さんだった。
「懐かしいな」
「来たことあんの?」
「中学の頃まで隔週位できてた」
昔と変わらない内装にほっこりしているとこの店の店主の奥さんがお冷やをもってきた。
「あら…弘くんじゃない?」
「そうです、お久しぶりです」
「ちょっと見ない内に大きくなって!お父さーん、弘くん来たわよ」
他のお客さんがいるのにも関わらず大声で厨房の店主に声をかけている辺り本当に昔と変わらないんだな
つい口元がにやけそうになり敦に冷たい目で見られる
「ごめんなさいね、今少し混んでるからあとで呼んでくるわね。」
他のお客さんに呼ばれて去って行ったあとメニュー表を見て注文を決める
「オススメあんの?」
「俺はいつも煮カツ定食」
「じゃ、俺はチキンカツ定食」
オススメを聞いておいてもう決まってた様に言う敦に目を細める
「注文お願いします!」
大きめの声で言わないと周りのガヤガヤした音にかき消される。
「決まった?」
「えと、煮カツ定食とチキンカツ定食お願いします」
「はーい」
厨房の方へオーダーをいいに言ってまた直ぐにお客さんに呼ばれる。
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