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料理が運ばれて来るまで斜め上に置かれたテレビを見ていた 昼間はニュース番組ばかりだが夜はバラエティーをつけている 「あれ、matだ」 呟く様に言ったのを拾われたようで敦が睨み付けてくる 「mat好きなの?」 「sky以外興味なかったんだけどライバルって聞いてから多少気になるかな」 「ふーん」 お冷やを飲み壁にかけられている品札を眺めている敦に目を向ける 古くて油っぽい定食屋でもさまになっている姿にため息をつく skyとして見なくても変装していても溢れんばかりのオーラは人の目を引き付けるようで、呑んでいるおじさんや子供ずれの主婦たちがチラチラ見ているのがわかる 「なんだよ」 俺が見ていたのに気づいたのかメニューから目を離して俺を見る 「いや、イケメンだな」 「は?」 思っていた事をさらりと言葉にしてしまい呆れ返っている敦の様子にハッとする 「羨ましいなってさ」 取り繕う様にそう言えば笑われてしまう 「お前はそのままでも充分可愛いだろ」 「可愛いっ!?」
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