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「はぁ」
返却された模試の結果を見つめた野々山りおは、大きく溜息をついた。
「野々山さん、どうしたの?」
「あ、菅野くん」
そんな普段とは異なる様子のりおに声を掛けたのはシンだった。
「菅野くんはいいよね。英語ペラペラなんでしょう?」
「まぁ英語は香港で使ってたからね。英語がどうかした?」
そこまで言ったとき、彼女の手にある英語の模試が目に入った。
「……あぁ、模試の結果か。180点ってすごいな。野々山さんは語学系の学部志望だっけ?」
シンが笑顔でそう告げても、りおの顔は明るくならない。
「そういうわけじゃないけど。それに今回はたまた良かっただけだし……。というか毎回全教科満点に近い菅野くんに、この点数誉められても全然誇らしくない」
りおは口を膨らませた。
「満点なんて、そんなことないよ。今回は現代文でマークシートが1つずつズレてたみたいで、もう散々な結果でね」
シンは、藤堂さんにも笑われちゃって……と恥ずかしそうにしている。
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