【1】天使の溜息

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「はぁ」 返却された模試の結果を見つめた野々山りおは、大きく溜息をついた。 「野々山さん、どうしたの?」 「あ、菅野くん」 そんな普段とは異なる様子のりおに声を掛けたのはシンだった。 「菅野くんはいいよね。英語ペラペラなんでしょう?」 「まぁ英語は香港で使ってたからね。英語がどうかした?」 そこまで言ったとき、彼女の手にある英語の模試が目に入った。 「……あぁ、模試の結果か。180点ってすごいな。野々山さんは語学系の学部志望だっけ?」 シンが笑顔でそう告げても、りおの顔は明るくならない。 「そういうわけじゃないけど。それに今回はたまた良かっただけだし……。というか毎回全教科満点に近い菅野くんに、この点数誉められても全然誇らしくない」 りおは口を膨らませた。 「満点なんて、そんなことないよ。今回は現代文でマークシートが1つずつズレてたみたいで、もう散々な結果でね」 シンは、藤堂さんにも笑われちゃって……と恥ずかしそうにしている。
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