第一章

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「はいはい、目ー覚めちゃったみたいだね。喉ごろごろ鳴らして気持ち良さそうにしてたのに」 オレの天敵はそんなことをほざきやがる。 はあ!?このオレ様がそんなことするわけねーだろうが。 ばぁーか、ばぁーか。 オレが風呂場のすみっこで毛を逆立てて威嚇してるっつーのに、相手はのほほんと苦笑いしてやがる。 いや別にこんな隅っこに来たのはお湯に浸かっててびっくりしたからじゃねーし。別に水なんかへっちゃらだし、だからこの震えてんのも…ってか震えてねーし!む、ムシャブルイだし! あ?小難しい言葉知ってんなって?うっせーわい、そりゃオレ様だしな。ハクシキなんだよ。 青年はオレが不満をぎゃんぎゃん喚いている途中からだんだんおかしな顔になっていき、今では片手で口を抑えてなにかを堪えている。 なんだよ!笑いたいなら笑えばいーだろ!逆にその顔ムカつくんだよっ。 オレがそう言ったからか、それともついに堪えきれなくなったのか、風呂場に男の笑い声が響いた。 ……ああ、もう泣きそうだ。なんだか周りがぼやけてきたぜ。 ハハハ…
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