人工少女と多感な少年

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「水分で内部から温度を下げると同時に、糖分摂取によるエネルギー補充。人間は、意外に効率的な生き物なのだな」  少女は抑揚の乏しい、平面的な口調で語る。 「そんな大げさな事じゃないよ。習慣と言うか、ただ体が欲すると言うか、まあ、そのアレだよ、アレ」  うだる暑さで、思考放棄した人間代表の男子は言った。 「その曖昧さ、感覚、と言うものが我々、人工無機生命体にはない、だから未来からやって来たのだ」 「曖昧さねぇ。女子には嫌われるんだよなあ。て、そのさ、何んとか『なのだ』とか言う口調やめない? 敬語じゃなくてタメ語でいいからさ」 「タメ語とはなんだ?」 「えーと、例えば、語尾を『でしょ』とかほらこうして」  男子がフレンドリーに肩を軽く叩こうとした瞬間。 「エマージェンシー! 防衛行動ニウツリマス」  ボカロ風の警告音の後、眩い青春色の電光が走った。
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