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「夏なんてなくなればいいのに」 学校の保健室でおかっぱの少女が言う。 「無茶言わないでよ、私たちの出番なくなるでしょ?」 大きなマスクの女性がため息をつく。 「夏じゃなくても幽霊はいるじゃない」 ふてくされる少女こと花子は言う。 「そうね。でもホラー特集は夏に多いのよ」 「そんなの偏見だわ」 「冬場にこたつに入りながらアイスみたいなものよ?」 「なんか違うかも」 「それとも北極でホラー映画かしら?」 大きなマスクの女性こと口裂け女が笑う。 今日も誰もいない筈の夜の学校は平和なのかも知れない。
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