1645人が本棚に入れています
本棚に追加
/460ページ
「何やってるの?なかなかゴミ捨てから帰ってこないと思ったら、こんなとこで手をつないで」
明らかに怒った櫂の言葉にびくっと体が跳ねる。
本当に何やってるんだろう。
先輩だけじゃなく、櫂まで傷つけて。
泣くなんて卑怯だ。
泣いても何にも解決しない。
それは分かってるのに、涙が止まらない。
「はぁ」と溜め息をついた櫂が僕に近づいてきて、先輩から引き剥がした。
「夏樹は俺のものだ。いくらあんたが頑張っても、夏樹の心は1ミリも動かないよ。
だから、きっぱりとあきらめて、これ以上夏樹に関わらないでくれ」
櫂に睨み付けられた先輩は、信じられないことにニヤっと笑ったんだ。
「さっきから聞いてたんだろ?
俺も夏樹が好きなんだ。だから、夏樹を誰にも渡したくない」
「だから!…」
叫びだしそうな櫂を先輩が遮った。
「すごい自信だね。俺がいくら迫っても夏樹は揺るがないんだ」
「当たり前だろ。俺たちの想いの深さをナメるなよ」
「じゃあ、試させてもらうよ」
えっ?
最初のコメントを投稿しよう!