バーベキュー

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「いいだろ?俺が一人で足掻くだけだ。 惨めなのは俺だけ。 君たちは俺なんて気にしないで、いつも通り仲良くしてればいいよ。 夏樹が揺るがないんだったら、文句はないだろう?」 櫂がぐっと詰まる。 「夏樹、泣かせてごめんね。 もうちょっとだけ足掻かせて。 いいよね」 僕が返事出来ずにいたら、櫂が「好きにすれば」と言った。 「ただし、期限は3ヶ月。それで諦めてくれ」 櫂の言葉に先輩が頷いた。 「さ、帰ろうか。さっきから携帯が鳴りっぱなしなんだ」 ポケットから取り出して見せてくれた先輩の携帯が、緑の光と一緒にぶーんと震えた。 本当にこれで良かったのかな。 先輩も櫂も傷つけてしまう選択をしたんじゃないかと不安になる。 「大丈夫だよ、夏樹は悪くないから。 おれの我が儘だから。 ね、もう泣き止んで。そんな顔されたら、抱き締めてキスしたくなるから」 キスっ。 びっくりしすぎて、涙が止まってしまった。 「よく出来ました。 じゃあ、先に戻ってるね。 すぐに出発だから。 夏樹」 「はい」 「帰りも助手席で、僕にもポッキー『アーン』してね」 先輩は手をヒラヒラさせて広場に戻って行った。 「あいつ、何なんだよ」 櫂が文句を言ってる。流石の櫂でも、先輩には敵わないんだな。 フフっと笑うと、「お前が笑うな!」とチュッと唇にキスされた。
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