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帰りの車の中。
「よろしく」と先輩からいちごポッキーの箱を渡された。
「えっ……」
あれは本気だったんだ。
「あの……どうぞ」
いちごポッキーを差し出すと、「ありがとう」と先輩がぱくっと口に加える。
でもポッキーは長いから、手を使わないと食べにくそう。
「先輩、僕持ってますから、ゆっくり食べてください」
先輩は少しうなずいてシャクシャク噛みながら僕の指付近まで食べると、残りをぱくっと食べた。
「美味しいよ」
ニコニコ笑う先輩を見てると、さっきの事が嘘だったのかと思う。
「夏樹、どうかした?」
「あ、いえ。もう一本どうぞ」
僕が差し出すと、先輩はまたシャクシャク食べ出した。
ハムスターみたいで可愛いな。
その時後ろからチョコポッキーの箱が僕の膝の上に落ちてきた。
後ろを見ると、櫂が『アーン』と口を開けている。
まさか……櫂にも食べさせろと?
櫂を見ると、いたずらっぽく笑っている。
これ、何の罰ゲーム?
僕は、ポッキーを差し出した。櫂は手が使えるからくわえさすだけ。
「美味しい?」
「うん」
良かったねー。
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