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『ひっく、ひっく………わるくないもん……』
園庭の隅にうずくまる小さな体を見つけた。
やっぱり、泣いてるんだ。
僕は驚かさないようにゆっくり近づいた。
「かい。なかないで」
「なちゅき、みんなが、ぼくはらんぼうだっていうんだ。みなちゅもいうんだ。
ぼく、わるくないのに……」
「かいは、らんぼうじゃないよ。
ぼくをたすけてくれたんだよね。
ありがとう」
僕は泣いている櫂にぎゅっと抱きついた。
僕たちのクラスに名前は忘れたけど意地悪な男の子がいて、あの日は僕のお弁当の卵焼きを勝手に食べたんだ。
それを見ていた櫂がその子を押したら、運悪く床についた手にヒビがはいったんだ。
事情を知らないみんなは櫂がいきなり押したって言い、僕がいくら違うって言っても全く聞いてもらえなかった。
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