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僕は櫂に近づくと、背中をそっと抱き締めた。
あの時のように泣いてはいないけど、酷く落ち込んだ姿は痛々しい。
「何があったの?」
「夏樹……俺、分からないよ。
俺が悪いのかな?」
「大丈夫。櫂が悪くないって僕は知ってるよ。
だから、話してみて」
頷いた櫂は後ろを向いたまま、ポツリポツリと話しだした。
昨日櫂がカフェテリアで友達と喋っていると、サッカー部で一緒の柿崎(かきざき)君がやってきた。
柿崎君ともう一人佐山(さやま)君と櫂は仲がよく、遊びにいったりもしていたらしい。1度だけ柿崎君の彼女も一緒に遊んだことはあるが、それだけだった。
なのに、彼女が櫂を好きになったから別れてほしいって柿崎君に言って、怒った柿崎君が櫂の所に来て殴ったらしい。
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