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「やっぱり中司先輩はすごいですね。
どの球もすごく打ちやすかったです」
「いや、夏樹が上手いからラリーが続いたんだよ。
いくら俺が上手くても相手が正確に打ち返してくれないとキツいよ」
僕たちはお互いに誉めあっているのに気づいて苦笑した。
「夏樹は時間良かったのか?」
「はい。夕飯を家で食べるだけなので」
「そっか。じゃあ、そろそろ帰らないといけないな。あいつも一緒なのか?」
あいつ?
先輩が誰の事を言ってるのか分からない。
「誰ですか?」
「蓮見だよ。お前ら仲良かったよな?」
「櫂ですか?いえ、別ですよ。
そうだ、僕先輩と同じ大学なんです。
アドバイスとかあれば、教えてくださいね」
中司先輩は「おう」と言いながら、僕の頭を撫でてきた。
「先輩、髪の毛がぐしゃぐしゃになるから、やめてくださいよ」
僕はささっと髪の毛を整えると、上着を着た。
汗が風に冷やされてちょっと寒く感じる。
『くしゃん』とくしゃみをしたら、先輩がコートをかけてくれた。
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