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そんなことないって思うと同時に、もしかしたら……って思う。
僕さえ我慢すれば、櫂も友達を失わなくて済むし、柿崎さんの気が済むんだ…って。
先輩が来てくれなかったら……
僕がしようとしたことは、櫂を更に深く傷つける事だった。
あんな事で仲直りしても櫂は全然嬉しくないだろうし、それよりも更に二人の仲がこじれていたと思う。
「先輩すみませんでした。そして、ありがとうございました」
また、先輩に助けられちゃった。
先輩は僕の肩に手を置いて、「怖かったな。でも、夏樹は頑張ったよ」って言ってくれたんだ。
怖かった。
櫂との事が広まること、櫂じゃない人にキスすること……本当にすごく怖かったんだ。
「先輩ー」
涙が溢れてきて止まらない。
「夏樹は頑張ったよ。頑張った」
泣きじゃくる僕を先輩は優しく受け止めてくれて、泣き止むまで一緒にいてくれたんだ。
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