1644人が本棚に入れています
本棚に追加
/460ページ
「大丈夫か?
悪かったな」
「いえ、誘ってもらえて嬉しかったです。
それより、コートお返しします。
先輩が風邪ひいちゃいますよ」
僕がコートを脱ごうとすると、先輩が止めた。
「いいから着てて。
そうだ、夏樹の家まで送るよ。
それなら、帰りはコート着て帰れるから」
「でも……」
先輩も汗をかいているのに。
僕が先輩を見上げると、先輩は「夏樹は心配しすぎなんだよ」と言ってクスッと笑った。
どうしよう、本当にいいのかな?
僕が戸惑っていると、「おーい、夏樹ー」と櫂の声がした。
櫂は僕を見つけると迷わずコートに入ってきた。
私服に着替えてるから、1度家に帰ったんだ。
「櫂どうしたの?」
「どうしたじゃないよ。夏樹も美夏も帰って来ないっておばさんが家に探しに来たんだよ。
携帯鳴らしても通じないって、泣きそうだったんだぞ」
あ………、携帯は上着のポケットに入れてたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!