卒業

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「大丈夫か? 悪かったな」 「いえ、誘ってもらえて嬉しかったです。 それより、コートお返しします。 先輩が風邪ひいちゃいますよ」 僕がコートを脱ごうとすると、先輩が止めた。 「いいから着てて。 そうだ、夏樹の家まで送るよ。 それなら、帰りはコート着て帰れるから」 「でも……」 先輩も汗をかいているのに。 僕が先輩を見上げると、先輩は「夏樹は心配しすぎなんだよ」と言ってクスッと笑った。 どうしよう、本当にいいのかな? 僕が戸惑っていると、「おーい、夏樹ー」と櫂の声がした。 櫂は僕を見つけると迷わずコートに入ってきた。 私服に着替えてるから、1度家に帰ったんだ。 「櫂どうしたの?」 「どうしたじゃないよ。夏樹も美夏も帰って来ないっておばさんが家に探しに来たんだよ。 携帯鳴らしても通じないって、泣きそうだったんだぞ」 あ………、携帯は上着のポケットに入れてたんだ。
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