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泳ぐのは後の楽しみにして、僕たちはおじいちゃんに挨拶するために玄関まで戻った。
「じいちゃん、友達連れて来たよ」
鍵がかかってないらしく、琢磨が戸をあけながら叫んだ。
「琢磨、元気だったか。
学校はどうだ?」
出てきたのは、『本当におじいちゃん?』と思うほど若い日焼けした男の人だった。
多分60歳くらいじゃないかな?
よく見れば、目元ががオーナーに似ている。でも、オーナーはお洒落なカフェが似合う優しそうな人で、おじいちゃんは真っ黒で明るくて、すごくたくましい感じがするんだ。
「楽しいよ。友達も出来たし。
紹介するね。先輩の中司さんと、同級生の夏樹」
「はじめまして。中司 仁(なかつかさ じん)です。
よろしくお願いします」
先輩はすかさず、スマートに挨拶している。
「あ、上條 夏樹(かみじょう なつき)です。お世話になる……なります」
恥ずかしいな。噛んじゃった。
僕と先輩が頭を下げると、おじいちゃんは
「こちらこそ、よろしく」
と握手してくれた。
「じいちゃん、部屋はいつもの所使っていい?」
「おう、いいぞ。布団3組置いてるからな」
「やったー。ありがとう。
夏樹、先輩、行きましょう」
琢磨について階段を上がると、手前の扉を開けた。
「うわー、すごい」
そこは、窓から海が見渡せる12畳くらいの広い部屋だった。
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