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タオルを巻くのも変だし……ま、いいか。
僕は先輩に背中を向けてパンツを脱ぎ、水着を着た。
恥ずかしがってるのが逆に恥ずかしくて、ふうっと息をはいて振り返る。
あれ?
中司先輩がさっと視線を外した。
「先輩?」
「み、見てないから。夏樹の着替えとか全然見てないから」
慌てて否定されると、ちょっと疑いたくなる。
いや、別に見ててもいいんだけどね。
こんな先輩は初めてだ。
僕と全然目を合わせてくれない先輩だけど、耳が真っ赤になっているのが見える。
「あの……」
この変な空気を何とかしたくて口を開きかけた時、「お昼できましたよ」と琢磨が入ってきた。
「あ、夏樹は着替えたんだね。先輩も急いでくださいよ。今日は半分終わっちゃったんだから。
夏樹、浮き輪持って下りてくれる?」
「あ、うん」
琢磨によって普通に戻った空気にほっとしながら、僕は浮き輪を抱えて部屋を出た。
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