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「うわ、冷たい」
3人で競争するように海まで走って、足をつけた途端に3人で叫んだ。
思っていたより冷たい水にワーワー言いながらも、構わず入って行くと、慣れてきたのか段々気持ちよくなってきた。
「夏樹、乗って。引っ張ってあげるよ」
琢磨が筏型の浮き輪を浮かべて、僕の前に持って来てくれた。
「いいの?」
「もちろん」
先輩もにこにこして、浮き輪をポンポン叩いている。
怖々乗ると、琢磨が浮き輪に付いている紐を引きながら、深いところへ泳ぎ出した。
先輩も後ろから浮き輪を押しながら、ばた足で泳いでいる。
すごく楽しいけど、少し思ってしまう。
ここに櫂がいたらなぁ……
櫂は今サッカー部の合宿に行っている。
例年行っている場所が台風のためにダメになって急きょ変更になったらしく、昨日の朝慌ててバタバタと出掛けて行ったのであまり話せていない。
琢磨と海に行く事を伝えた時はムッとしてたけど、櫂自身が合宿でいないから反対出来なかったみたいだ。
「ナンパとかされるなよ」
と訳が分からない事を言ってたけど………。
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