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「夏樹、怖いの?」
先輩に聞かれて首を横に振る。
「すごく楽しいです。足つかないけど、先輩は大丈夫ですか?」
「浮き輪に捕まってるから大丈夫だよ。溺れたら、夏樹が助けてくれるだろ?」
「そうですね。頑張ります」
やっぱり先輩は、僕のことよく見てる。
ちょっと元気がなくなると、すぐに声をかけてくれるんだ。
せっかく海に来てるんだし、楽しまないとね。
僕は、先輩に水をバシャっとかけた。
「こら、止めろよ」
先輩が片手で防ぎながら笑っている。
先輩、ありがとう。楽しもうね。
しばらくして、今度は琢磨が浮き輪に乗った。
すると、先輩がニヤリと笑った。
まさか……。
そう思った時、先輩が浮き輪の端を持ち上げた。
「うわー」
琢磨が悲鳴をあげて海に落ちた。……と言っても足がつく浅瀬だけど。
僕と先輩が笑っていると、びしょ濡れになった琢磨が「酷いよー」と顔を出した。
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