10/34

1645人が本棚に入れています
本棚に追加
/460ページ
「夏樹、怖いの?」 先輩に聞かれて首を横に振る。 「すごく楽しいです。足つかないけど、先輩は大丈夫ですか?」 「浮き輪に捕まってるから大丈夫だよ。溺れたら、夏樹が助けてくれるだろ?」 「そうですね。頑張ります」 やっぱり先輩は、僕のことよく見てる。 ちょっと元気がなくなると、すぐに声をかけてくれるんだ。 せっかく海に来てるんだし、楽しまないとね。 僕は、先輩に水をバシャっとかけた。 「こら、止めろよ」 先輩が片手で防ぎながら笑っている。 先輩、ありがとう。楽しもうね。 しばらくして、今度は琢磨が浮き輪に乗った。 すると、先輩がニヤリと笑った。 まさか……。 そう思った時、先輩が浮き輪の端を持ち上げた。 「うわー」 琢磨が悲鳴をあげて海に落ちた。……と言っても足がつく浅瀬だけど。 僕と先輩が笑っていると、びしょ濡れになった琢磨が「酷いよー」と顔を出した。
/460ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1645人が本棚に入れています
本棚に追加