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街灯が照らすだけの少し暗い道を、僕はなるべく足音を控えながらかけ降りていく。
まだ9時半だというのに周りにある家は結構電気が消えていて、シンと静まり返っている。
緩い下り坂を下っていると、誰かが歩いてきた。
「櫂?」
そっと呼び掛けてみると、「よう」と返事が帰って来た。
さっきの電話もそうだったけど、機嫌悪いな。
そうか、部活で何かあったんだ!
でないと合宿所から抜け出して、僕に会いに来るわけがないよ。
まさか、また喧嘩……。
急に心配になり、櫂の腕を引いて街灯の下に連れてきた。
顔をじっと見ても、腫れたり切れたりしている所はない。
頬を触っても痛がる様子はないから、口の中も大丈夫そうだ。
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