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一人で通るはずだった校門を、櫂と一緒に手を繋いで通った。
諦めようと思ってた気持ちが揺れる。
……こうやってずっと櫂と一緒に過ごしていきたい。
「ん、どうした?」
「な、何でもない」
知らない内に櫂を見つめていたみたいで、慌てて視線を反らす。
「今日さ、一緒に帰れるかと思ってたから探したんだぞ」
えっ………
一緒に帰ろうって思ってくれてたんだ。
たとえ、美夏のついででもそう思ってくれたことが嬉しい。
「ごめんなさい。
僕も一緒に帰りたかった。
だから、迎えにきてくれてありがとう」
今ぐらい素直になってもいいよね?
櫂のコートの暖かさを感じる。
先輩に借りた時は悪くて返そうとしたけど、今は返したくないんだ。
櫂が風邪をひいたら僕が看病するから許してね。
行きはあんなに切なかった風景が、帰りは愛おしく感じる。
もう少しだけ……美夏と正式に付き合うまでだけは、側に居させてね。
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