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「夏樹は寂しくなかったんだ」
「それは……寂しかったけど」
「そっか」
櫂は僕にピタッとくっついてきて、肩をぐいっと抱き寄せた。
シャンプーだろうか、いい匂いがフワッと香る。
いつもの櫂とは違う香りだ。
「夏樹、シャンプー変えた?」
櫂に聞かれて嬉しくなる。同じ事考えてたんだ。
「ううん、琢磨のおじいちゃんのお家のを借りたんだ。櫂も違う香りがするよ」
僕が鼻を近づけてクンクン嗅ぐと、櫂はくすぐったそうに首をすくめた。
あ、もしかして……
「ねぇ、櫂は僕に会いに来てくれたの?」
「……そうだったら、悪い?」
「ううん、嬉しい」
僕は腕を回して櫂に抱きついた。
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