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「な、夏樹どうした?」 僕から抱きつくなんてあまりないから、櫂が驚いている。 せっかく櫂が会いに来てくれたのに、意地を張ってる場合じゃないよね? 素直にならなくちゃ。 「櫂に会えて嬉しいから」 「うん。俺も嬉しいよ」 櫂も僕をぎゅっと抱き締めてくれた。 お互いの体温が心地いい。昼間の疲れもあってか、眠くなってきていつの間にか目を閉じていた。 ピリリリリ…という、聞き覚えのある音で目を開ける。 「あれ……寝てたの?」 櫂も僕に抱きついたまま寝ていたみたいで、慌ててる。 携帯で時間を確認すると10時。 そんなに寝ていなくて良かった。 さっきの音は、先輩からの電話だったんだ。 「夏樹です。すみません、電話いただきましたよね?」 「夏樹、どこにいるの?蓮見もいっしょ?」 先輩の声が焦っている。 また心配かけちゃったのかな。 「はい、櫂も一緒に海にいます」 「海?」 「そうです。琢磨……あ、ちょっと、櫂」 先輩と話していると、櫂に電話を取られた。 「もしもし、蓮見です。夏樹はきちんと送り届けますから、心配しないで下さい」 それだけ言うと、櫂が電源まで切ってしまった。
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