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「夏樹……俺に背を向けないで。
お前が蓮見の所に走っていく背中を、何度も何度も見送った。
だけど、それでも諦めきれないんだ。
俺は、どうしたらいいかな」
先輩の腕が震えている。
泣いているの?
……違う。僕が泣かせたんだ。
先輩の気持ちを知ってたのに、無神経に櫂に会って、先輩を傷つけたんだ。
先輩はいつも僕が傷つかないように庇ってくれたのに。
先輩、ごめんなさい。
こんなにも先輩を傷つけてるのに、それでも櫂しかダメな僕こそ、どうしたらいいですか?
涙が頬を伝う。
その時、琢磨が手を伸ばして、僕たち2人を抱き締めた。
「誰も悪くないから。だから、2人とも泣かないで……」
そういう琢磨が一番泣いてるんじゃないかな。
僕たち3人は、抱き合ったまましばらく泣きつづけた。
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