1645人が本棚に入れています
本棚に追加
/460ページ
琢磨達と海に行ってから1週間。
やっと平和な日々が戻ってきた。
焼きもち焼いてくれるのは嬉しいんだけど、あれはちょっと…
思い出しただけで、赤面する。
僕がため息をつくと、美夏が『幸せ逃げるよ』とからかってきた。
美夏にはまだ櫂の事は言ってないんだけど、最近の櫂のベタベタぶりを笑って見てるから、とっくにバレてる気がする。
「今日は櫂来ないの?」
ほら、やっぱりバレてるよね。
「うん。その代わり、明日は朝から出掛けるんだ」
「二人で?」
「……うん」
普通の質問なんだけど、改めて『二人で?』って聞かれると、ドキッとする。
「楽しんできてね。私も明日デートなんだ」
千帆(ちほ)ちゃんの一件で、美夏と葛城(かつらぎ)さんは一時期距離を置いてた。
でも、それを乗り越えて今は前より仲良しになったみたいだ。
「良かったね」
僕の言葉に、嬉しそうに美夏がうなづいた。
「ありがとう。夏樹にも嫌な思いさせちゃったけどね。
千帆ちゃんと修也(しゅうや)も兄妹としての距離感が掴めたみたいで、今は喧嘩もしてるんだよ。
夏樹のお陰だね。ありがとう」
……僕は千帆ちゃんから逃げてただけなんだけど。ま、美夏が満足してるなら良かったんだよね。
最初のコメントを投稿しよう!