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久しぶりに夢を見た。
「じゃあ、二人ずつ出発して、3ヶ所のポイントで紙を取って戻ってくること。
別の所に行ったり、ペアと離れたりしないように。
では、出発」
あぁ、これは小学5年の自然学校だ。
先生が肝試しをするって張り切ってたな。
肝試しと言っても、宿泊している施設の周りの道をペアで歩いて、3ヶ所のポイントにある紙を取って来るだけの夜の散歩だ。
廃屋に入ったり、お化け役もいないんだけど、昔からお化けや心霊現象などが大嫌いな僕にはすごく怖かったのを覚えている。
出席番号順だから、櫂とは離れているし、双子だから美夏は違うクラスだ。
とりあえず頑張るしかない。
そう思った時、櫂が先生に
「夏樹すごく怖がりだから、俺と一緒でもいいですか?
だめなら、二人で見学します」
と言ってくれたんだ。
*****
あー、やっぱり。
あんな夢を見て、嫌な予感がしたんだ。
僕は、怖いと評判のお化け屋敷を呆然と眺めていた。
「櫂、冗談だよね?僕が怖いの苦手って知ってるよね」
「知ってる。でもここ、すごく行ってみたかったんだ。
もし、夏樹が無理なら、他のやつと来るよ」
他のやつって、まさか女の子と来ないよな。
櫂にしがみついてキャーキャー叫んでる女子を想像しただけで嫌な気分になる。
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