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ひっ……と声にならない悲鳴を上げて、櫂にしがみつく。
人形から目をそらすと、鏡に血だらけの女の子が映り、『私のお人形はどこ?』って言ったんだ。
『わーっ』
もう無理、もう無理。
半泣きになりながら、櫂に顔をぐりぐりと押し付けながらしがみつく。
「な、夏樹、大丈夫だよ。
鏡に映ってるだけだから」
櫂の声も震えている。
映ってるとか関係なく、無理だから。
怖すぎて声も出せない僕を、櫂は胸に抱き締めたまま進んでいく。
目は見えないけど、その分耳が鋭くなるのか、音がやけに鮮明に聞こえて余計に怖い。
なのに、『わっ、ビビった』とか、『マジで無いわ』とか、『気持ち悪すぎ』という 櫂の言葉が聞こえてきて、怖そうだけど結構楽しんでいるなって気がついた。
そんな櫂に救われながら、やっと最後のシーンにたどり着いた。
「夏樹、ここから向こうまで幽霊が追いかけてくるみたいなんだ。
だから、全速力で走らないとだめだよ。
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