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「なんかお腹空いた。
櫂、お詫びに奢ってよ」
まだ真っ赤な櫂に、何とか気持ちを反らそうと話しかけたのに………。
「夏樹、もう無理。
とにかく、家に帰ろう」
「は?まだ、お昼前だよ。今日は1日デートするって言ってたよね。
僕、楽しみにしてたのに」
まさか、……まさかだよね。
「ほ、ほら。駅前にできたラーメン屋さん。
櫂、行ってみたいって言ってたよね。
今日は時間があるし、多少並んでも大丈夫だよ。
だから、行ってみようよ」
僕が必死で話しかけても、櫂は何も言わずに僕の腕を引いてどんどん歩いていく。
まだ、お昼なのに冗談だよね。
そりゃあ、恋人同士になったし、僕もいずれは……って覚悟してたけど。
二人とも黙ったまま電車に乗った。
でも険悪な雰囲気じゃなくて、ドキドキして何も言えなくて、ただ、お互いをずっと意識してたんだ。
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