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どうしたらいいんだろう……仕事中なのに、どうしても櫂の事が頭から離れない。
さっきマスターに注意されたばかりなのにダメだな。
もしかして、今日はずっとこんな調子かもしれない。
このままじゃ、お客さんにもお店にも迷惑をかけそうで怖い。
……早退させてもらおうかな
幸いにもお客さんはあまりいないし、もうすぐあと一人入る予定だから人数は足りている。
僕はマスターに話すために、厨房に行った。
「上条君、どうしたの?」
「すみません。早退させてください」
頭を下げる僕を、マスターが困ったように眺めている。
やっぱり、いきなりの早退はまずかったかな。働くものとしての常識に欠けた行為だよね。
自分のしてしまった間違いにビクビクしていると、
勢いよく裏口のドアが開いた。
「おじゃましまーす」
入ってきたのは、どこか見覚えのある小柄な男の子だった。
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