再会

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「俺、これから琢磨と待ち合わせなんだけど、あんたも行かない?えーっと、名前何だっけ」 「上条、上条夏樹」 「そうそう、夏樹だ。夏樹も行こうよ」 にかっと笑いながら誘ってくれるけど、僕はまだバイトが……。あ……早退をお願いしてたんだ。 「ごめん、僕はダメなんだ。琢磨と楽しんできて」 「えー、残念。俺明日帰るのにー」 ほっぺをぷーっと膨らませる祐也君が可愛い。 「何でダメなんだよー」 僕が行かないだけでこんなに機嫌が悪くなってくれるなんて、ちょっと嬉しい。 「ごめんね。まだ夏休みはあるから、今度は僕が『いいよ。今日は特別だから行っておいで』」 マスターが、仕方ないなぁって顔で言ってくれる。 「その代わり、明日は今日の分まできちっと働けるように、気持ちをちゃんと切り替えてくること。わかった?」 「はい」 ありがとうございます。 僕は、深々と頭を下げた。 「良かったな」 祐也君は僕が遊びに行けて喜んでるって思ってるけど、実際は違う。 全く仕事に身が入らない僕を気遣ってくれるマスターの気持ちが嬉しいんだ。
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