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ロッカーで着替えながらふと鏡に映る自分を見ると、なんとも情けない顔をしている。
はぁ……とため息が漏れる。
僕は一体どうしちゃったんだろう。
あれから、櫂と一緒にいるとドキドキしすぎて、話もまともに出来なくなってしまった。
櫂が話しかけてくれてもぎこちなくなっちゃって、昨日は『夏樹、あの時本当は嫌だったの?』って聞かれてしまった。
『嫌じゃない、嬉しかった』ってきちんと言えれば良かったのに、『えっと……あの……』しか言えなくて、櫂を傷つけちゃったんだ。
何でかな。
何で普通に出来ないんだろう。
幼稚園の頃から一緒にいることが当たり前で、何を話そうとか改めて考えることがなかった。会話なんかなくても一緒にいると安心できて、居心地が良かったんだ。
「悩みごと?」
ふと気がつくと、僕の隣に祐也君が立っていた。
「なあ、ちょっと行きたいところがあるんだけど、付き合ってくれる?」
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