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「じゃあさ、夏樹の好きなやつに今から連絡して、『会いたい』って伝えろ」
櫂に今から?
「いや、無理だよ。というか、何で好きな人の事で悩んでるって分かるの?」
「バカだな。ため息ばかりつくのは恋の悩みだって昔から決まってるんだよ。懐メロとかにもそういう歌詞があるだろ!」
懐メロ?
「とにかく電話をかけろ」
祐也君の迫力に押されて、電話をかけた。
「もしもし夏樹。どうした?」
櫂の優しい声が聞こえる。
僕を気遣う声は、昔から全然変わってない。
ああ、そうだ。恋人になっても、一線を越えても、櫂は全然変わってないんだ。
なのに、僕はあの日から全てが変わっちゃったと思い込んでいたんだ。
実際は何も変わってないのに……。
ううん、違う。
櫂の事が、今までよりもっと大切になったんだ。
「櫂、会いたい。今すぐ会いたいよ」
「夏樹、今どこ?バイト先?」
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