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櫂の焦った声が聞こえる。
「ううん、カラオケに来てる。
櫂は?」
「俺は家にいるよ」
「じゃあ、待ってて。すぐに行くから」
僕は財布から2000円を抜いて祐也君に渡した。
ちょっと多いかもしれないけど、お礼だ。
祐也君のお陰で、大切なことに気づけたから。
「祐也君ありがとう。
僕、帰るね。また会いに行くよ」
「頑張れよ。夏樹なら、ちゃんと仲直り出来るよ。
待ってるから、絶対に来いよな。
夏樹とはいい友達になれそうな気がするから」
部屋から出ようとすると、祐也君に『待って』と引き留められた。
祐也君は僕に近づくと耳に口を寄せて内緒話みたいに小さな声で言ったんだ。
『夏樹の好きなやつって男なんだな。びっくりしたよ』
あっ……てっきり知ってると思ってた。
男同士って、やっぱり引くよな。
どうしよう。
「あ、ごめん。大丈夫だから。
実は俺の恋人も男なんだ。幼馴染みの腐れ縁ってヤツ。
だから、安心していいよ。
ダブルデートしような」
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