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「あ、うん。」
祐也君は『友情のハグ』と言いながら僕をがばっと抱き締めて、容赦なく背中をバンバン叩いた。
「もう、しっかりしろよ。
言いたいことがあったら、相手にちゃんと言えよ。
でないと伝わらないぞ」
「ありがとう」
そうだね。
僕が思っていたこと、全部伝えてくるよ。
祐也君に『ガンバレー』と見送られて、櫂の家に急ぐ。
櫂、待っててね。
ピンポーン。
櫂の家の前(お向かいさんだから僕の家の前でもあるんだけど)に着き、チャイムを鳴らす。
「夏樹、いらっしゃい。
というか、すごい汗だな。
まさかずっと走ってきたのか?」
「駅からね。櫂に話があるんだ。
聞いてくれる?」
「いいよ。とにかく、上がって何か飲めよ。
熱中症で倒れるぞ」
櫂の家に入ると、いつもより静かだ。
おばさん、いないのかな?
僕がキョロキョロしていると、櫂が笑った。
久しぶりに櫂の笑顔を見て嬉しくなる。
ちょっとは前みたいに出来てるのかな。
「アハハ。夏樹、なんか小動物みたいだな。
母さんなら、まだパートだよ」
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