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櫂を見ると、僕を真剣な眼差しで見つめていた。
……何を考えてるの?
だんだん気持ちが焦り出す。
このままうまくいかなくなったら、僕はどうしたらいいんだろう。
「櫂、これだけは本当。
僕は櫂の事が大好きだから、最後まで出来て幸せだよ。
全然嫌じゃなかった。だから……」
叫ぶように言った僕を、今度は櫂がぎゅっと抱き締めてくれた。
「夏樹、分かったから。
今まで幼馴染みとして自然にいられた関係が、変わってしまうようで不安だったんだね。
俺も一緒だよ。夏樹を抱いてるとき思った。
大事にしたいのに、同時にめちゃくちゃに泣かせてみたくて、初めてなのに気を失うまでやめてあげられなかった。
自分の事が怖くなった。
夏樹には笑っていて欲しいってあんなに願ってたのに、何でって……。
矛盾する気持ちをどう受け止めたらいいのか分からなかった。
でも、これだけは決めてた。
夏樹の目が覚めたら謝って、夏樹の事をもっともっと大切にしようって。
だけど、目を覚ました夏樹は、僕を見た途端に不安そうに目を反らした。
……俺は、そんな夏樹に何も言えなくなってしまったんだ」
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