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夢を見る。
それは、僕たちが幼稚園の時の夢。
「ねえ、なちゅき、なちゅき、こっちむいて」
「ごめんね。いま、トンネルほってるから、ちょっとまっててね」
砂場で山を作って、一生懸命穴を掘っている僕。
「いやだ、ねえ、なちゅき、こっちむいてよ」
「うん………もうちょっとだから」
ダンダンダン
「うわーん。あと、ちょっとだったのに」
砂場の山は、見事にぐちゃぐちゃに踏み潰されてしまった。
「こらー、またなつきを泣かせたなー」
僕の泣き声を聞いて走ってきた美夏(みなつ)が、櫂(かい)に飛び蹴りをする。
「うわーん。痛いよー」
「ふん。かいが悪いんだからね」
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