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「うん、ありがとう。
楽しみにしてるって、祐也君にも伝えといて」
「了解」
「バイト頑張って」
琢磨に手を振って裏口から出ると、照れ臭そうな櫂が立っていてびっくりした。
「櫂、どうしたの?」
「バイトが早く終わったから、一緒に帰ろうかなって思って」
櫂が迎えに来てくれるなんて初めてで、嬉しくて顔がにやけてしまう。
「夏樹、楽しそうだな。バイトでいいことでもあった?」
「違うよ、櫂が来てくれて嬉しいんだよ」
学習したんだ。
些細なことでも、きちんと伝えないと伝わらないって。
「……えっ、夏樹?」
びっくりして、口をパクパクさせている櫂が可愛すぎる。
「せっかくだから、遠回りして帰ろうよ」
さりげなくトンと肩をぶつけながら誘うと、「いいね」って櫂が賛成してくれたので、僕たちは駅とは反対方向に歩き始めた。
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