1645人が本棚に入れています
本棚に追加
/460ページ
「こうやって歩くの懐かしいな」
「うん。幼稚園から高校まで、ずっと一緒だったからね。美夏もいたしね」
「あー、美夏ね。あいつ、俺たちの事、絶対に気づいてるよな。
そう思ったら、顔を合わすのが照れ臭いよ」
えっ?何となくそうなのかなって思ってたけど、本当に気づいてるの?
「美夏気づいてるの?」
櫂は、僕を安心させるように背中をポンと叩いて言った。
「心配するな。美夏は応援してくれてるよ。
それに、ずっと前から俺の気持ちには気づいてたんだ。
中学の時に言われたよ。
『私は夏樹の味方だから、櫂の応援は出来ない。でも、夏樹も同じ気持ちなら、私は二人を応援するから』って」
「中学って、そんな前から……。
そっか。僕だけが気づいてなかったんだね。
なのに櫂と美夏が両思いだって勘違いして落ち込んで、二人から離れようとしてたなんてね」
アハハと笑った僕の腕を櫂がぐっと掴んだ。
すごく力が入っていて、痛い。
「櫂……どうしたの?」
「夏樹は俺から離れようとしてたの?」
あっ………
また、やっちゃった。
考えなしに口にして、櫂を傷つけてしまった。
「ごめん。二人が仲良く話してるのを見てるのが辛かったんだ。
それで、大学になったら離れようと思ってた」
最初のコメントを投稿しよう!