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痛いくらいだった腕が、急に自由になった。
櫂……
「ごめん。痛かったよな。
夏樹だけが悪いんじゃないのに。
周りに何を言われても良かった。
でも、夏樹に嫌われるのだけは耐えられなかった。
俺の気持ちを隠すために、わざと美夏にばかり話しかけてた時期もあった。だから、夏樹が誤解したのは俺のせいなんだ」
櫂も苦しかったんだね。
「僕も一緒だよ。告白もできないし、結局離れることも出来なかったんだから。
でも、今はすごく、すごく幸せだよ」
手を繋ぐ事も、腕を組む事も出来ないけど、こうやって隣に櫂が居てくれるだけで幸せなんだ。
些細なことですぐにすれ違ってしまう僕たちだから、気持ちはきちんと言葉で伝えていくね。
「帰ったらキスしようね」
僕は櫂に囁いて、走り出した。
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