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「二人が振り向いたからびっくりしたけど、まさか双子だとは思わなかったよ」
「知ってる人にはよく似てるって言われるんですけどね」
そう言って笑う上条が眩しくて、つい口が滑ってしまったんだ。
「俺も夏樹って呼んでいい?」
「………」
上条は何を言われたか理解できないようで、ポカンとしている。
「あ、いや、あの……だから、双子だし。えっと、だから……」
もっとスマートに出来たはずだ。
笑いながら『冗談だよ』って済ますことも出来たのに、なんでこんなに慌ててるんだろう。
上条の前では何故だかいつもの自分でいられない。
どうしよう……そう思った時、上条が真っ赤な顔をして言ったんだ。
「あの、良かったら名前で……夏樹って呼んでください。
みんなの憧れのキャプテンに名前で呼んでもらえるなんて、すごく嬉しいです」
「いいの?」
「はい。キャプテンさえよければ」
嬉しくて、嬉しくて、ぎゅっと抱き締めて、頭をぐちゃぐちゃになでまわしたいくらいだ。
勝手に動きそうな手を必死で押さえつける。
そして、表面上はいつもと変わらず余裕な感じで、「じゃあ、夏樹。改めてよろしくな」と笑ってみせた。
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