1645人が本棚に入れています
本棚に追加
あ、そうだ。
鞄からバナナ・オレの紙パックを出して、夏樹に渡した。
「ぷっ。キャプテン、これ好きなんですか?」
「コーヒー買おうとして間違えたんだよ。甘いの飲むと元気が出るって言うだろ。だから……」
「ありがとうございます。ちょっと気になってたんですが、飲んだことないので楽しみです。いただきます」
夏樹はバナナが描いてある黄色いパックにストローを刺すと、怖々一口飲んだ。
「甘っ。………で、でも、美味しいです」
まだ目の端に少し涙を溜めたまま、無理して笑う夏樹が愛しくて仕方がない。
「良かった。じゃあ、また買ってやるよ」
「えっ…………」
ちょっと固まる夏樹が可笑しい。
見た目は可愛らしいのに、実は甘いものが苦手なんだよな。
それを知ってて、渡した俺も意地悪だけど。
でも、笑ってくれて良かった。
最初のコメントを投稿しよう!