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「いいんですか?」
「いいよ。先輩だし、キャプテンだから頼られると嬉しいんだ。
だから、遠慮なく言ってきて欲しい」
夏樹に好きな人がいるって再認識させられる事はちょっぴり悲しいけど、それより俺を頼ってくれる方が嬉しいんだ。
俺たちは、共通の話題を捜しながら、駅までゆっくりと歩いた。
それはすごく穏やかで満ち足りた時間だった。
次はいつ、こんな時間が過ごせるんだろうか。俺はそれが楽しみでしかたなかったんだ。
だけど、俺が高校を卒業するまで、夏樹は1度も俺を頼っては来なかった。
分かっていたことだ。
見た目に反して、自分の問題は自分だけで解決できるくらい夏樹は強いんだ。
だから、辛そうな夏樹をみると俺からテニスに誘うようになった。
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